日本滞在記 その2 Japan Trip Story 2

日本滞在記その2は、主に二つのイベントを中心にデザインについて思いつくままに書いていこうと思います。

東京ミッドタウンにある21_21で開催されている「田中一光のデザインの前後左右」(2013年1月20日まで)
(http://www.2121designsight.jp/program/ikko_tanaka/about.html)

Ikko Tanaka and Future/Past/East/West of Design
21_21 Design Sight
– 20th January, 2013
(http://www.2121designsight.jp/en/)

tanakaiko

日本が大きく動いた時代に生き、多くの場で「日本」を発信してきたデザイナー田中一光さん。

キーワードは「見立て

私が会議を運営する会社で働いていたころ、あろ大きな国際会議のポスターに用いられたのはよくある「富士山の写真」に日の丸。会議の内容に「富士」は全く関係がありませんでしたし、あまりにも短絡的な表現に日本人ながら、日本てこれしかないのか、とがっかりしたことを覚えています。

今回、田中一光さんの作品の数々をみて「ああ、こうした仕事をした人がいたんだ」と嬉しくなると同時に今まで知らなかったことに残念な思いもしました。

発信すべき情報の本質を見極め、的確、簡潔かつ明瞭に限られたスペースの中に表現する。そこにあるのは優れた洞察力と技能なのでしょう。
中でも私が好きな作品はアメリカで開催されたアジア パフォーミングアート展のポスター(1981年)

tanakaiko2

(田中一光さんのポスター、こちらにたくさん掲載されています。
http://unubore-7.blogspot.co.uk/2012/01/1980-2002.html)

日本舞踊から連想される線は曲線。体のしなり、中腰で保つ姿勢、手の表情、どれをとっても「曲線」の集まりです。それをシンプルでジオメティカルな構図で表現する。歌舞伎の演目を題材にそれを非常にわかりやすく、端的に表現しています。直線てわかりやすいですよね。

こちらの記事もどうぞ
http://www.asahi.com/fashion/column/at/TKY201210180175.html

専門的な解説は他の方にお任せして、「いいデザイン」て何?
言葉であれば俳句のように限られた文字の中に表現したいことを濃縮させて共有できるものにすること。
さあこれを私の作品にどう活かしましょう。

 

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日本滞在記 その1 続々々 Japan Trip Story 1—

「日本の色」というと「渋い色」であったり、「淡い中間色」というイメージがつよいようですが、歌舞伎や能の衣装、また友禅染めに見られるようにはっきりした強い色も数多く含まれます。またその色の種類もとても豊富です。

墨絵に見る黒白の美学とか、渋い灰色や茶色を好む「侘び寂び」の美学ということは、日本の伝統的な色彩文化のうちのある一方の観点にすぎない(「虹色どろぼう:染司よしおかの植物染」より)

kimono(左から 歌舞伎衣装 文化デジタルライブラリー 歌舞伎の衣装 女方
池田家伝来の能装束「紅茶浅葱段松皮菱繋風景模様唐織」=林原美術館蔵
加賀友禅伝統産業会館資料 より)

Often subtle colours are mentioned as the characteristic Japanese colours but they are not only colours. You also find some vivid and strong colours in Kabuki or Noh costumes, or kimono patterns. The colours are very rich.

化学染料などなかった時代、色は植物、鉱物といった自然界にあるものから得ていました。日本の伝統色、色名も、草木染めと深く関わっています。
ただ昔ながらの方法で染めたものはなかなか手に入りにくくなっています。原材料の確保、量産性の低さ、といろいろ昨今の流通システムに載せるには不向きな点があります。
植物染料で染められる「あか」のパレットと化学染料のそれとは同じではありません。個人的には植物染料の色目の方が好きです。ブラジルウッドの赤は「綺麗」だと感じるのですが、ポストの赤はどう使えばいいのかまごつきます。
自然染織家の伊豆蔵さんがよく「自然からいただく色」と表現されますが、それが自分の中にすんなりと取り込める理由かもしれません。
化学染料で植物染料に近い色を出すことは可能ですが、色素を足し算する過程で彩度が落ちることがままあります。

Before the chemical dyeing method was introduced, all colours came from natural resources.  We still enjoy these colours dyed with natural materials, but ‘natural dyeing’ method is rather difficult to apply to the manufacturing or marketing system today.
Personally I like natural dyeing colour pallets. They are very rich, deep, and beautiful. They are the great gift from our Nature.

今回の旅で京都に工房のあるカワバタプリントさんにおじゃましました。こちらで工学博士の木村先生との共同開発で生まれた「新万葉染め」についてお話を伺いました。
最近よく「化学」と「アート」のコラボレーションが話題になりますが、「新万葉染め」もそうしたプロジェクトから生まれました。
(「新万葉染め」についてはこちらからどうぞ http://www.kawabataprint.com/dyeing/)

I visited Kawabata Print in Kyoto. They developed the new natural dyeing method, “Shin Manyo-some”. It’s a ‘Art’ and ‘Science’ collaboration  project.It introduces some beneficial developments in natural dyeing method;

  • Less dye material
  • Less time
  • Mixing colours
  • Applying to the repeated products
    and more

カワバタプリントさんのご好意で「マリーゴールド」、「インドアカネ」、「ログウッド」の3種類の染料を少量わけていただきました。
早速「マリーゴールド」と「インドアカネ」で紙糸を染めてみました。

manyo写真は左から
「マリーゴールド 10%」、「インドアカネ10%」、「マリーゴールド5%+インドアカネ5%」、「マリーゴールド7%+インドアカネ3%」、「マリーゴールド2%+インドアカネ8%」
1. marigold 10%  2. indian madder 10%  3. marigold 5% + indian madder 5%  4. marigold 7% + indian madder 3%  5. marigold 2% + indian madder 8%
(all dye powders are produced by Kawabata Print)

アルミで先媒染後それぞれの染液で染めました。媒染に1時間、染めに1時間。通常は染液を取るために原料を煮出す必要がありますが、今回は鍋に沸かした湯にいただいた粉末状の染料をよく溶かし、媒染処理した糸を入れるだけ。2種類の染料をあわせるのも化学染料のときと同じように、それぞれを計量してあわせればよく、とても簡単。数時間の作業で5種類の色を染めることができました。

Alum mordantAdd powders to the water and dissolve, simmering 1 hour
Mixing two powder to get different shades of colour

マリーゴールドの力が強いのか、紙糸との相性が良かったのかわかりませんが、染液に浸けたすぐから色が入り、10%しか染料を使わなかったにも関わらずご覧のような黄色がとれました。(写真の色は実際の色と若干異なります)
昔の黄八丈の黄色はこんな色だったのかな?
茜はもう少し染料を増やした方が良さそうです。ちょっと弱いですね。

The colour from marigold is very strong. The yarn grabbed the colour very quickly and was dyed very well. 10% of dye material is very small quantity in natural dyeing method.You can use this method for printing too.

「もう少し濃い/薄い色を」とか色重ねが以前よりずっと気軽にできるのは嬉しいですね。染めた後の残液は底に多少の澱が残る程度でそのまま排水溝にながしても気になりません。
カワバタプリントさんでは新万葉染めでプリントもしています。
この方法を伺って来ようと思っていたのに迂闊にも忘れてしまいました。残念!!!

今はこの方法で染めた商品は購入できるのですが、染料そのものは販売されていません。早く染料が簡単に手に入り、色数も増えれくれるといいにですが。
川端社長、宜しくお願いします!

At the moment they don’t sell the dye powder, just sell the products dyed with this method. Neither they have opened up the method.
I’m waiting their further development to get easy access to the method and more choice of colours.

 

日本滞在記 その1続々 Japan Trip Sory 1–

私たちの「好む色」は万国共通ではありません。Japan colurs, British colours, Egyptian colours それぞれ異なったパレットをもっています。その土地の自然環境、文化が色濃く反映されているのだと思います。
Colour Trend情報は瞬時にして世界を駆け巡りますが、世界中どこへ行っても同じ色が流行っているとは限りません。

Our favourite colours are not ‘Universal’. There are many different colour pallets; Japan colurs, British colours, Egyptian colours,,,Many elements such as nature, environment or culture, reflect on these pallets.
We share the information ‘Colour Trend S/S 2013’ but it doesn’t mean we will wear the same colours  in the next spring.

「日本の色」に関する本は数多く出版されています。私のお気に入りは『色の風景』(野呂希一・荒井和生 seiseisha出版)。

「先ず日本の風景ありき」そしてその中に見え隠れする色や雰囲気が醸し出す色名を探ってみる (はじめにより)

この本で紹介されている風景が非常に魅力的。写真集としてみても一見の価値があります。そしてそこから拾い上げた色、色名を解説してくれています。解説というよりもその色名に纏わる話しといった方が適切かもしれません。

色の風景 (色の風景I p14)

You find hundreds of books of colours at Amazon or even at your local book stores. My favourite is “Iro no Fukei” (Colours from Scenery). It’s enjoyable as a photo book as well. You will find beautiful Japanese scenery in this book. Each page introduces A colour from the photo and the story of the colour.

江戸時代には「四十八茶百鼠」といわれるほど色分けをして自由な発想の色名が次々と生み出されています。今よりずっと「ゆとり」があったのかもしれません。(はじめにより)

「四十八茶百鼠」とは?

江戸時代に着物に関して庶民が身につけられる物は、素材は「麻」または」綿」、色は「茶色」「鼠色」「藍色」(納戸色)」のみと限定されてしまいました。しかし他の人とは違うものを着たいと言う欲求は今も昔も変わらないので、職人さんがあれやこれやで試行錯誤して色の中に微妙な色調を工夫して着物を染め上げ、多くのお洒落な庶民達の欲求で生まれたのが「四十八茶百鼠」という色合いです。
下記は「四十八茶百鼠」の代表的な「茶」「鼠」「藍」 のカラーバリエーションです。
「四十八茶百鼠」の四十八や百は色数ではありません。多色と云う意味です。(デザイン雑学 http://ggdesign.blog48.fc2.com/blog-entry-69.html より)

四十八茶百鼠そして著者の野呂さんはこう提案しています。

名所旧跡を訪ねる旅もいいですが、「瑠璃色の旅」とか「利休鼠の旅」など、色を訪ねる旅というのはどうでしょう。そして曽於で出会った色合いに相応しい色の名前を創作してみるという「色名探しの旅」も案外面白そうです。(はじめにより)

「色名探しの旅」面白いですね。柔軟な発想と豊かな知識が要求されそうですが

「四十八茶百鼠」、なんと粋なんでしょう!こうした色の微妙な違いを愛で愉しんでいたことにも驚きますが、それぞれに名前までつけていたのですから。そしてこうした色を染め分ける技術があったことはもっと驚きです。その時代、使われていたのは天然染料なのです。

In Edo period, color choice was very limited for ordinary people; browns, grays and blues. Still their demand for wearing beautiful colours and being unique was very strong. What they’ve done was to create different browns, grays and blues. The pallet above shows their creation. They created these colours from natural resources.

ようやく本題の植物染めに辿りつきました。この本題は続々々へ
Now I reached the main subject ‘natural dyeing’. It will be on my next page.

日本滞在記 その1続 Japan Trip Story 1-

日本滞在記 その1でアップした「色」。お楽しみいただけましたか?

Hope you enjoyed “Colours” I showed on my previous posts.

今回は「紫」と題する映画を中心に草木染に関する話題をお届けします。

This time I will talk about the film “Murasaki – purple” and some more about ‘natural dyeing’ or ‘plants dye’.

murasaki日本の染色界の第一人者のお一人である吉岡幸雄さんが監修された映画「紫」が渋谷の小さな映画館で上映されていました。
(吉岡さんに関することはこちらのURLからどうぞ http://www.sachio-yoshioka.com/)

「紫」-吉岡さんの一番好きな色だそうです。なぜ「紫」?染色家にとって一番難しい色だからお好きなのだそうです。
吉岡さんとその工房で長年色を創りつづけていらっしゃる福田さん、この工房から生まれる色の数々は凛としてこころを洗われるものばかりです。
(http://www.sachio-yoshioka.com/gallery/genji.html - 「源氏物語の色辞典」どんな色?と思われた方はこちらでどうぞ)

“Murasaki – purple” is filmed  under the editorship of Mr. Sachio Yoshioka, one of respected Japanese dyers. The title comes form his most favourite colour. Why  Purple? Because it’s the most difficult colour to create for dyers, he mentioned.
The colours born at his studio are very exquisite. Please visit the site above to see their wonderful colours.

この映画の中から耳に残った言葉をいくつかご紹介します。
・「自然を征服しようとするのでなく、自然と対話する」
・「ありがたい」と思う気持ちを大切に
・伝統文化の継承
・伝統文化の中にある豊かな色、色彩
・淡い色の中にもある「いろのかさなり」
・自然が手本、自然に問う、自然を取り入れる
晴れ着と普段着
・工夫
・ゆっくり、ゆっくり、繰り返し

In this film Mr. Yoshioka emphasized to communicate and live with ‘nature’ and do not forget to “thank”.
‘Slow’, ‘steady’ and ‘repeat’, this is another way for your life.

ー 草木染編 その2に続く continued

日本滞在記 その1 Japan Trip story 1

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10月25日から12月5日まで一時帰国しました。今回はいつもより早め、かつ長めの滞在。今回出会った人、物、事柄を紹介します。

I returned home for 6 weeks this autumn. This would be my report of my trip.

最初にご紹介するのは「色」。もちろんこの時期の色といえば「紅葉」。第一弾は京都の紅葉を中心に魅力あふれる色の数々です。

My first story is “Colours”. And the first colours are “Autumn leaves”. They are not just red or yellow. Amazingly different beautiful colours you can enjoy.

もみじ_3 もみじ_6 厭離庵_11 厭離庵_13 厭離庵_14 厭離庵_16 吉兆_1 銀杏_1  宝厳院_4 宝厳院_12宝厳院_13竹林03